活動報告

当研究所で行った活動をご紹介しております。
当研究所主催イベントや当研究所が行った講演等をご紹介しております。

活動報告

富山県立山町教育委員会で講話を行いました

12月2日(金)に立山町教育委員会主催の「読み解く力」向上研究会が立山町立雄山中学校を会場として開催され、当研究所上席研究員の目黒朋子が講話を行いました。


立山町では、今年度から「『読解力』向上3か年プログラム」を開始し、児童・生徒の読解力の向上に取り組んでいます。

今回の「読み解く力」向上委員会では、まず雄山中学校の二人の先生による、国語科3年生の公開授業が行われました。
単元名は、「自らの考えを-対象を評価し、多様性の中で自分の考えを確立する-」です。
松原仁著「人間と人工知能と創造性」と羽生善治著「人工知能との未来」の二つの論説文を題材として、これらの論説を三つ観点から読み比べ「ワールドカフェ方式」の対話手法を用いて、自分の考え(班の考え)について根拠を基に伝え合うという学習活動です。
学習指導要領の「精査・解釈」に相当する「批判的な読み」を実践する非常に意欲的な授業でした。

その後、目黒から「リーディングスキルを活用した授業づくり~教科書を読み解く~」と題して、RSの6分野7項目をどのように授業に落とし込んでいくかについて話をいたしました。
ワールドカフェ方式の授業では、記録者の書くスピードが「話すこと」に追い付かず、スムーズな話し合いが困難な場面も見受けられたので、共書き(聴写・視写)についても話をいたしました。

11/23の活動報告記事 に当研究所所長の新井紀子が書いたように、意欲的・発展的な授業でなくても、リーディングスキルは、工夫によって上げることができます。頑張って計画した特別な授業より、むしろ日々の「ふつうの授業」が大切です。

例えば、今回の授業で使用した生徒のワークシートを見てみましょう。

Q:人間がすべきことはどんなことか。

A:今後どのように対応するかを考えていくこと。

この生徒の答えは、文になっているでしょうか。教科書の本文では主語や目的語が省略されていることがあります(ゼロ照応)。省略されている本文のまま書き抜きすると「何が何に」の部分が抜け落ちてしまいます。
この答えもその一つです。常にアウトプットした文が文として成り立っているかを考えさせる(係り受け解析)、他の人の文と自分の文が同じ意味なのかを考えさせる(同義文判定)など、小さな積み重ねを大切に指導していくことが重要です。

さらに、ワークシートの質問文にも工夫が必要です。

Q:人工知能をうまく活用するとはどういうことか。

この質問文に相当する段落には、「また」という接続詞が使われているので、RSの高い生徒は、「また」を並列ととらえて理由を2つ書き表すことができますが、RSの低い生徒は、「また」を読み取ることができず理由を1つしか書けません。
このような場合には、質問文の中に「人工知能をうまく活用するとはどういうことか2つ書きなさい。」など、いくつ答えればよいのかわかるようにして、RSが低い生徒でも自力で解決できるような工夫が必要です。

また、授業をデザインする時には、生徒の実態を把握しながら、学習活動の中で「間違えた→なぜ間違えた?→こうすれば間違えない」というサイクルを作り出すことも必要です。

前述の「また」の場合で考えてみると、『理由を1つしか書けなかった→接続詞「また」を読み飛ばした。「また」が並列の記述であることが分からなかった→今回、「また」は並列の記述であることが分かったので、次回から「また」に印を付けるなどして、読み間違いに気をつける』というサイクルになります。

このようなサイクルを毎時間くり返すことにより、生徒は読解のための正しいスキルが身につけることができ、さらにはいろいろな場面でそれを活用することができるようになります。

時間はかかるかもしれませんが、学校全体で(市町村全体で)RSを意識した授業を毎時間行っていくことが読解力向上の一番の近道となるでしょう。

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新潟県燕市で講演・講評を行いました。

新潟県燕市では、令和3年度から市内全小中学校において、汎用的基礎読解力の診断のためにRSTを導入しています。

2022年11月22日に燕市教育委員会主催の「令和4年度 読解力育成プロジェクト全体研修会」が燕市立燕西小学校を会場として開催されました。まず、開催校である燕西小学校の6年生の算数において、特に「イメージ同定」を意識した授業として、「同じ形ってどんな形?~暮らしに生かす拡大図と縮図~(全 12 時間)」の仕上げに相当する発展的な授業が展開されました。市内すべての小中学校から多くの先生、教育長はじめ教育委員会の指導主事が見守る中、体育館で授業が始まりました。

燕西小学校では、毎年、小1~小6が班をつくり、遠足をします。同じ起点と終点ですが3つコースがあります。そのコースのうち「田んぼコースが一番長いらしい」ということを児童は実感(時間がかかる、疲れる)などから感じています。それが本当かどうかを地図の縮尺を用いて確認し、「どれだけの道のりの差」があるかを数値として確認するという大変意欲的な内容でした。

児童の「実感」とこれまで学んできた「縮尺」をつなげることにより、「縮尺で考えることの良さ」を実感させるという意味では、「考える力を育てる」「算数・数学の考え方の良さを実感する」という学習指導要領の目的に合致した、内容の濃い授業です。ただ、イメージ同定と推論の力はもちろんのこと、作業に集中力が求められる授業であることに注意が必要です。

1.地図上のジグザグの道を線分に区切り、コンパスで取り、直線上に移すには、コンパスの使い方の習熟が必要。

2.「どこまでは測り済みで、どれはまだ測っていないか」をチェックする注意深さが必要。

3.地図が1万9800分の1の地図だったため、「本当の長さ」を計算するには3桁以上の掛け算の能力が必要。(学習指導要領外)

3については最初から電卓またはタブレット上の電卓を使うか、2万分の1の地図を用いることで3桁どうしの掛け算を回避できるようにする工夫があるとよいでしょう。

さて、講演では「リーディングスキルに着目した授業づくり」というお話をさせていただきました。

「すべての児童(生徒)にとって、すばらしい授業」というのは存在しません。たとえば、RSTの能力値が4~5に固まっているような学校では、上記のような授業はまさに児童にとって「算数の良さ」を実感できる授業になることでしょう。一方、RSTの能力値が2.5を平均として分布しているような場合は十分な効果が得られないかもしれません。

リーディングスキルを「伸ばす授業」というのは、能力値が1の子を2に、2の子を3に、3の子を4に、4の子を5に上げ、平均を上げつつ分散を小さくする授業です。自分のクラスの子のRSTの能力値を把握した上で、「全員が手を挙げられる問題を3つ」「半数が手を挙げられる問題を2つ」「能力値が一番高い層が手を挙げられる問題を1つ」準備し、一斉授業の中で、それぞれが確実にRSを昨日より今日、今日より明日、少しずつ上がるような授業を目指すのが、(地味ではあるが)最も効果があるのではないか、というお話をしました。

※「問題」というのは、根拠をもって解決されるべき問題を意味します。(例:「軽井沢の6月の平均気温は何度ですか?」(雨温図を読む、イメージ同定)、「ゆうなさんは『土地の高いところでは、気温が低くなる』と言っています。どのグラフを見てそう言っているのでしょう?」(雨温図を読む、イメージ同定)) 「感じたこと・思ったことの表出」は上記の「問題の数」とは別でお考えください。

意欲的・発展的な授業でなくても、リーディングスキルは、工夫によって上げることができます。頑張って計画した特別な授業より、むしろ日々の「ふつうの授業」が大切です。教科書見開き2ページの本文・資料を最大限活用しましょう。文の基本構造の把握が弱い子には、本文の構造の確認を(文法的に、ではなく自然に)確認してください。DEP、ANAはできているが推論が弱い子には「〇行目に・・・と書いてあるね。なぜだろう」のように根拠を聞きましょう。その際、根拠としてまずは教科書に書いてあることを挙げられるようにしたいですね。(もちろん、児童の実感や経験とつなぐ活動も大切ですが。)そのような実践ができている学級では、「今日学習する教科書のページ」を全員が開いており、先生が質問をすると、教科書から答えを探そうとするので、どれだけ日々の実践ができているかが一目でわかります。

RSTを導入していらっしゃる他の自治体でもご参考になれば幸いです。

 

 

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大阪府和泉市で講演を行いました

 

10月27日(木)に大阪府和泉市で開催された「令和4年度 第2回 リーディングスキルテスト活用研修会」において、当研究所主席研究員の菅原真悟が研修会講師を務めました。
研修会はオンラインで開催され、市内の小中学校の先生方の参加がありました。

和泉市は今年度、中学生と先生方がRSTを受検し、その結果を分析・活用し、授業改善・学力向上をめざしています。

 研修会では、当研究所代表理事・所長の新井紀子の『AIに負けない子どもを育てる』の10章「大人の読解力は上がらないのか?」をもとに、読解力を身に着けることの重要性について解説を行いました。

 そのうえで、今回のRST受検結果の分析をもとに、生徒が抱えている課題について説明し、生徒の読解力を高めるために、教員がどのような点に注意して教科書を読んで授業を行えばよいのかを解説しました。

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F-labo 9月例会を開催しました(rst-laboふくしま)

9月24日(土)にrst-labo ふくしま(通称:F-labo)の9月例会が郡山市労働福祉会館で開催されました。

 今回のF-laboでは、相馬市立桜丘小学校の加藤政記教頭より、今年度4月に赴任してからの様々な取組を「RSを視点にした授業改善と読解力向上の取組 ~とにかくいろいろやってみる~」と題してお話しいただきました。

 4月からの6カ月間、加藤先生は以下の6つについて取り組まれてきたそうです。

1 RSTガイドブック・RSペンの作成

  転入職員に対し、RSTへの理解を図るために、RSTのテスト設計や6つの問題タイプが分かるガイドブックを作成し配布した。6つの問題タイプを色分けし、カラーボールペンで教材研究する。

 

←RSペン

 

 

 

                      

 


2 チャレンジタイム(視写)の取組

  朝の帯時間を活用し、視写に取り組む。3分間で、正確にたくさん写すことを条件とする。誤字・脱字の確認をし、何文字書くことができたかを振り返る。視写を通して「時間内に書くこと」を意識させるだけでも、授業でめあてを書くときに全員がそろって書き終えることができるようになってきた。

(2年生の目標文字数は100文字。1回目平均77.4字。9/22現在、平均98.9文字)


3 学力向上推進委員会だより

  相馬市研究指導員会の内容や、校内授業研究会の成果と課題等について、この便りを通して全職員で共有する。 


4 その他(掲示物・新聞活用)
  作成したRSやってみましたシートを印刷室に一覧で掲示し、授業改善につながるヒントを得ることができるようにする。RSを子どもたちが意識できるような掲示を作成する。小学生新聞の記事を要約させ、丁寧にフィードバックする。テストや家庭学習においても、授業で学んだ読みのスキルを活用して読めているかを確認し価値づけしていく。

←廊下の掲示物に挑戦している児童たち

 「て」「に」「を」「は」「へ」「が」等の文字を マグネットで貼れるようにしておく。

  

 

 

 

 

 

 

 

5 授業研究会の実施

授業公開等の事前検討会では、教科書の内容を、それぞれの教員がRSの視点で教材分析をする。6つの問題タイプを色分けし、教科書のコピーに書き込むようにする。それぞれの教材分析を比較検討することで、先生方のRSの理解と教科書を読む精度が高まるようにする。

 

6  今後の取組(RSウィークの設定「互見授業週間」)

  授業参観し、授業の中にある「リーディングスキル」を見出だし、気付いたことを授業者にフィードバックする。→RSへの理解を深める。


 加藤先生の発表には、RS向上に結びつく数多くのヒントが散りばめられていました。それぞれの学校で取り入れられることを、今日から始めてみませんか?

 

 

 

 


F-laboのロゴマーク。たちあおいの花言葉:「大望」「豊かな実り」。

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燕市教育委員会で講演を行いました

8月8日(月)、燕市教育委員会の「研究主任会」において当研究所上席研究員の目黒朋子が講演を行いました。

今回の講演では、教員がRSTの6分野7項目を使って解像度高く教科書を読むとはどういうことなのかをワークショップを通して先生方に体感していただきました。

使用した教科書は、教育出版「中学社会 地理 地域に学ぶ」の168~169ページと、東京書籍「小学5年社会 わたしたちの生活と食料生産」の116~117ページです。

※    教育出版「中学社会 地理 地域に学ぶ」の模擬授業については、当ウェブサイトのこちらをご覧ください。


先生方が普段何気なく読んでいる教科書ですが、「その一方の「その」とは何を指していますか?」、「食品廃棄量と食品ロスは同じ意味ですか?」など、あらためて問われると、ほとんどの先生方が戸惑います。そこで、教科書見開き2ページをどのように読み解くか、読み解く際にはRSTのどのスキルを使うのかなど、具体的に例を示しながらワークショップを進めていきました。

【受講者の感想】

・ワークショップの中で、教師自身が「文章を正しく読み取れていないこと。」「小学校の教科書に出てくる語句の意味を正しく理解していないこと。」を実感した。

・「解像度高く教科書を読む」ということがどういうことか、難しかったが、非常によく理解できた。

・本時の目標を達成させるためにどうアウトプットさせるかを意識しながら授業を進めることで、読解力は育まれていくと感じた。

・児童の読解力の前に、教師自身が教科書を6分野7項目の視点で読み込むことが必要であると改めて気づかされた。

・今まで以上に児童の視点で教科書を読み、RSTを意識した授業づくりに励んでいこうという気持ちが高まりました。

・教師が脳に汗をかいて授業の準備することが、子どもたちの可能性につながっていくことを教わりました。

 

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富山県立山町教育委員会で講演を行いました

7月29日(金)富山県立山町町民大ホールで開催されたRST解説会で、当研究所主席研究員の菅原真悟が講演を行いました。解説会は、密にならないように町民大ホールで開催され、町内の全小中学校の先生方およそ130名の参加がありました。

立山町では、今年度から「『読解力』向上3か年プログラム」を開始し、児童・生徒の読解力の向上に取り組んでいます。

解説会では、まず読解力を身に着けることの重要性について、菅原の体験をもとに解説を行いました。

 そのうえで、小学5年生から中学3年生全員が受検したRSTの受検結果から、どのようなことが読みとれるのかを報告いたしました。

 また、児童生徒の読解力を高めるために、教員がどのような点に注意して教科書を読めばよいのか、普段の授業でどのような点に気を付ける必要があるかを、社会科の教科書を例にとって解説しました。使用した教科書は東京書籍の『新しい社会歴史』122~123ページと、東京書籍の『新しい社会地理』の58~59ページです。係り受け(主語と述語はどれか)や照応(指示詞が指すものは何か/省略された語句は何か)を意識して読むことや、児童生徒にとって親密度の低い語句に注意することなどのポイントをお伝えしました。

 質疑応答では、当初予定の時間を超過するほど質問があり、先生方の関心の高さが感じられました。

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RSTを導入した企業で研修を行いました。

4年前からRSTを社内研修の一環として導入している上場企業において、中間管理職の方を対象とした研修を行いました。

中間管理職は、部下から上がってくる日報・週報・報告書・企画書・設計書、外部から届いた仕様書・報告書・提案書など大量の「文書」に目を通します。「内容が伝わらない、わかりにくい文書」の割合が多いと、意図や内容を書いた本人への聞き取りや文書添削に多くの時間を割かざるを得ません。そのことが、中間管理職の忙しさに拍車をかけ、生産性向上を阻む隠れた要因になっています。テレワークやDXを進めようとする中で、まさにそこがボトルネックになっている、と悩む組織は少なくないのではないでしょうか。

上場企業のホワイトカラーの圧倒的多数は大卒です。説明文の書き方くらい、学校で学んでいるはず、と思われるかもしれません。しかし、中高では説明文を書く機会はほとんどありません。大学では成績評価のためのレポートはあっても、朱入れや書き方指導までは手が回りません。理系の場合、各研究室で論文指導が行われていますが、年々就職活動期間が長くなり、十分な指導ができないのが現実です。

「内容が伝わらない・わかりにくい文書」に対して、「これでは意味がわからないだろう」「SNSばかりやっていないで、もっと新聞や文学を読め」といった叱責や、逆に、上司が全部書き直してやる、といった対応では、部下はどう修正すればよいのかがわかりません。

今回は、「文章苦手克服のための20時間トレーニング」と題して、(インセンティブがある部下であれば)20時間程度で書き方の向上が見込める具体的かつ定型的指導の方法を伝授し、ご好評いただきました。

実際に「わかりにくい文書」を見せて頂きましたが、RSTの結果と相関しているところが大変興味深かったです。

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北海道八雲町教育委員会で講演を行いました

7月27日(水)、『令和4年度八雲町確かな学び推進会議「八雲町学びセミナー」』において当研究所上席研究員の目黒朋子がオンラインで講演を行いました。

 八雲町教育委員会では昨年度より小学6年生から中学3年生まで(今年度は小学5年生から中学3年生まで)悉皆でRSTを受検しており、今回の講演は、昨年度に引き続き行われたものです。

 講演では、まず、昨年度と今年度の受検結果を比較したデータ分析について説明を行いました。
すべての学年で能力値に伸びがみられましたが、箱ひげ図を見ると、それぞれの分野の分散が大きいことが分かりました。
苦手分野(5段階評価の1)を持つ児童生徒がいることも考え合わせると、分散を少なくし、中央値をあげていく必要があることも分かりました。
講演では、学年ごとの分析結果について解説しましたが、児童生徒の個別のデータについても各種学力調査の結果とRSTの受検結果の相関を見るなど、分析結果を指導の改善に反映させていくことも重要であることをお伝えしました。

 次に、板橋第二小学校の山田禎文先生が考案した授業案をもとに、リーディングスキルを活用した授業づくりについて説明を行いました(下記リンク先参照)。
使用した教科書は「小学社会5」(教育出版)の156~157ページです。教科書見開き2ページには、本文だけではなく、写真やグラフなどの資料、問い、コラムなどが載っており、それらの多様な情報を本文と結び付けて読み解く必要があります。
大学共通テストにおいても、あらゆる科目で図や文章などの複数の情報を踏まえて関連を読み解く問題が増えています。小学校の段階から、教科書見開き2ページの内容をリーディングスキルを使って読み解き、自らの考えをまとめていく訓練が必要であることは言うまでもありません。(参照:板橋区学びのエリア「板橋のiカリキュラム開発重点校」研究授業が実施されました。)
リーディングスキルは学習の基盤となる“学習スキル”の一つです。児童生徒がリーディングスキルを生かして問題解決できる授業づくりを「教科書」を使ってすべての教科で取り組むことが重要であることをお伝えしました。

 最後に、目黒から、ねらいを考えずに、子どもと同じ気持ちで教科書の文章に向かい、教員一人ひとりが「教科書を使い倒す授業」を改めて考えることを日々の授業づくりの中で行ってほしいとアドバイスしました。

○板橋区学びのエリア「板橋のiカリキュラム開発重点校」研究授業が実施されました。(2020年12月5日)

 

 

 

 

 

 

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いわき市総合教育センターで講演を行いました

7月25日(月)、いわき市総合教育センターの「授業改善講座」において当研究所上席研究員の目黒朋子が講演を行いました。

 講演では、「リーディングスキルを育むための授業づくり」と題し、RSTの6分野7項目についての説明と、目黒が主宰している「rst-laboふくしま(通称:F-Labo)」での様々な実践発表を例に、「リーディングスキルを活用した授業づくり」とは具体的にどういうことなのかをお伝えしました。
そして、教員が教科書の文章やグラフや図をRSTの6分野7項目の視点で読むことは、「子どものつまずきや困難さを予測できる」⇒「教員の指示や発問が変わる」⇒「授業が変わる」という授業改善に結びつくことをお伝えしました。

 講演の後には、「授業づくりワークシート」(福島県教育庁義務教育課「リーディングスキル向上実践事例集」より)を使ったワークショップを行いました。
先生方には、実際の教科書を読み、「授業づくりワークシート」の「親和性の低い(なじみのない)言葉」、「音読の際の注意点」、「RST(6分野7項目)の視点」の各項目に落とし込んでいくという作業を行っていただきました。

 今回の講座の「めあて」は、「脳に汗をかく」というものでしたが、「久しぶりに頭をフル回転させ、脳に汗をかいた。」、「教科書の活用の仕方も理解できた。」、「まずは自分自身が解像度高く教科書を読めるようにしたい。」、「演習を行うことで、読み解く際の子どもの立場からのつまずきがわかった。」、「リーディングスキルについてさらに学びたい。」、「新井紀子先生の著書を読んでみたい。」などの感想が寄せられました。

 

当日の様子は、いわき市総合教育センターのウェブサイトにも掲載されています。
○いわき市総合教育センター
授業改善講座「リーディングスキルを育むための授業づくり」

 

 

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島根県立横田高等学校で講演を行いました

6月27日(月)に島根県立横田高等学校において、当研究所上席研究員の目黒朋子が「AI時代に求められるリーディングスキルとは」と題した講演を行いました。
横田高校では、学校全体で読解力の向上のための体制づくりを行い、すべての教科でRSTの結果分析に基づいた学習指導を行っていくという計画のもと、昨年度は1・2年生が、今年度は全学年の生徒と先生方がRSTを受検しました。

 講演では、まずAIの特徴やRST開発の経緯をお話し、AI・DX時代になぜ読解力が求められるのかを昨年度の数学の共通テストを示しながら説明しました。また受検結果の分析方法を紹介するとともに同校の生徒の結果について、具体的にデータをグラフに表し解説しました。特に、分散が大きい分野については、日々の授業の中で読解力を育成する観点を入れて授業を行い、分散を小さくし平均を挙げていくことが大切だとお伝えしました。

 次に、教員が「解像度高く教科書を読む」ということはどういうことなのか、実際の教科書の文章を提示して、RSTの6分野7項目のどのスキルを使って読めばよいのかをお伝えしました。また、教科書は教科による独特な表現もあり、生徒によってそれが読解を困難にしている可能性があります。特に、高校の場合には、先生方の専門性が高くなるため、他教科の教科書を読むことは少なく、生徒の困難さを理解できない可能性があることもお伝えしました。

 最後に、板橋区教育委員会や福島県教育委員会で実践されている、授業実践事例について紹介し、授業をRSの視点で構築していく具体的なイメージを持っていただきました。そして、生徒の実態に寄り添いながら、「間違えた」→「なぜ間違えた?」→「こうすれば間違えない」の流れをスキルとして身に付けさせ、その指導を積み重ねていくことが、頑健な汎用的読解力の育成のためには重要であることをお伝えしました。

 早速、先生方は職員室に来室する生徒への言葉掛けを話題にして、「意味が一意になっているか。」、「生徒に最後まで言葉を言わせているか。」など、まずは教員が言葉に敏感になる必要性があると話し合っているとのことです。

 

 

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