研修会に参加しました(南あわじ市立倭文(しとおり)中学校 スクールチャレンジ研修会)

南あわじ市立倭文中学校では、2019年度に全生徒と全教職員がリーディングスキルテスト(RST)を受検しました。そして生徒の受検結果をふまえて「『AIに負けない読解力』が身につく授業改善」をテーマに1月29日(水)、同校において研修会が開催されました。


 研修会では当研究所の目黒朋子上席研究員が登壇し、「AI時代に求められるリーディングスキルとは」と題し、AIの特徴やRST開発の経緯、RSTで測定できる読解力6分野7項目それぞれの説明を行いました。また受検結果の分析方法を紹介するとともに同校の生徒の結果について、どの分野が強い(弱い)のかを丁寧に解説しました。

 また、読解力はあくまでも学習のスキルのひとつであり、RSTの点数を上げることが授業の目的ではないこと、教員が目指すのは教科単元のねらいの達成であることを強調し、読解力向上のために授業内容を大きく変える必要はなく、日ごろの授業の中で一文一文を理解しているかどうか確認しながら、ゆっくりでも正確に読ませることから始めてほしいと訴えました。

  更に、教員側が「読めばわかるはず」「言えば伝わるはず」「分かりました、と答えたから分かっているはず」と思いこまないことが重要であるとして、道具箱の中身を「きちんと片づけましょう」と指示を出しても「きちんと」の認識は人それぞれであることから「よく使うものが手前になるように片づけましょう」と言い換えることで整理整頓する体験を過不足なく記述させる(具体例同定)指導や、教科書の文章で自分の考えや導き出した答え・作業が正しいかどうかチェックする(同義文判定)機会を多く作るなど、目黒上席研究員が中心となって活動しているrst-labo ふくしま(通称:F-labo)で発表されている読解力を意識したさまざまな授業案を紹介しました。

 

 

 研修会には倭文中学校の教職員及び保護者のほか、守本憲弘 南あわじ市長、南あわじ市教育委員会、近隣の小中学校の教職員等、多くの方々が参加し長時間にわたる講演にもかかわらず熱心に聴講されていました。

 研修会終了後、守本市長より、変化の激しい時代に必要な「読解力」を培うことがすべての児童生徒に重要であり、市が目指す教育の基本理念でも読解力向上に取り組むことを明記している、とのお話がありました。

(RST事務局)